学生から選ばれるための学校ブランディングとは
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目次
- 学校ブランディングをどのように導入したら良いかわらかない
- 学校のブランディングがなぜ重要なのかよくわからない
- 学校ブランディングでの成功事例が知りたい
少子化が進む現代において、学校が学生を選ぶ時代は終わりを迎えつつあると言われています。
しかし、学校をブランディングすることで、「来て欲しい理想の学生」から選ばれる学校に変わることは可能です。
入学前の学生を対象に学校をブランディングする目的は、学生や保護者が「あの学校に通ってみたい」「通わせたい」と志望校として選ばれることにあります。
本稿では、これからブランディングに力を入れていく学校の広報担当者に向けて、ブランディングすべき理由やポイント、メリット、デメリットから事例まで幅広く解説します。
学校にブランディングが必要な理由
学校にブランディングが必要な理由は以下の3つです。
・学校が学生を「選ぶ」時代から「選ばれる」時代に変化している
・伝えたいイメージと学生が持つ印象を一致させる
・魅力をアピールし「憧れ」を作る
それでは、一つずつみていきます。
学校が学生を「選ぶ」時代から「選ばれる」時代に変化している
学校にブランディングが必要な理由の一つ目は、学校が学生を「選ぶ」時代から「選ばれる」時代に変化していることです。
現在の日本において18歳以下の人口が減少しており、学校経営を取り巻く環境は今後一層厳しくなることが予想されます。
これまでは学校側が学生を選ぶ時代が続いてきましたが、これからは学校が学生から選ばれる時代へとシフトしていきます。
その場合、まず学校が学生から「認知される」必要があり、認知されるためには学校から独自性の高い魅力を発掘し、効果的にアピールすることが必要となります。
その上で興味へとつなげ「行きたい学校」に選ばれるというステップにつながります。
伝えたいイメージと学生が持つ印象を一致させる
学校にブランディングが必要な理由の二つ目は、伝えたいイメージと学生が持つ印象を一致させることです。
選ばれる学校になるためには、独自性の高い魅力をアピールすることが大切ですが、伝えたい魅力と実際に学生が持つ印象が一致する必要があります。
ブランディングによって学校が持つ特性が伝わることは、学生と学校のミスマッチを減らすことに繋がります。
魅力をアピールし「憧れ」を作る
学校にブランディングが必要な理由の三つ目は、魅力をアピールし「憧れ」を作ることです。
毎年志願者が多い学校には、学生にとっての「魅力」が必ず存在します。
「○○と言えばこの学校」と言うように、学校側が打ち出しているイメージと学生の印象が結びつき、学校の魅力は学生にとっての憧れになっています。
選ばれるためには、学生に魅力を押し付けるのではなく、ターゲット層の学生に寄り添ったブランディングを構築していくことで憧れを作り出すことが可能となります。
学校がブランディングを取り入れるメリット
学校がブランディングを取り入れるメリットは以下の3点です。
・他校よりも有利な広報活動ができる
・「憧れ」を引き出すことで多くの志望者を獲得できる
・集めたい学生と集まってくる学生が一致する
それぞれ、見ていきましょう。
他校よりも有利な広報活動ができる
学校がブランディングを取り入れるメリットの一つ目は、他校よりも有利な広報活動ができることです。
ブランディングをすることで、自校の魅力を創造したり、埋もれていたところから発掘することができます。
他校にはない魅力をアピールすることで学生の目に止まりやすくポジティブなイメージとして印象付けられます。
広報で大切なのは、ブランドを育成することです。
ブランドを築き上げて成功するためには、人任せの「広告」ではなく自ら関係性を構築していく「広報活動」によってブランドを作っていく必要があります。
「憧れ」を引き出すことで多くの志望者を獲得できる
学校がブランディングを取り入れるメリットの二つ目は、「憧れ」を引き出すことで多くの志望者を獲得できることです。
例えば、オリンピック選手を多く輩出するような学校であれば「スポーツに力をいれている学校」という印象だけではなく、「自分がやりたいことを応援してくれる学校」というイメージを彷彿とさせます。
この魅力に共感する保護者や学生が受験する頃には「あの学校に入って勉強しながら●●してみたい」というビジョンを持つようになります。
その気持ちが「●●学校に行きたい」という憧れにつながるのです。
自校が「どんな学校なのか」「どんな学生の力になりたい学校なのか」に気づき積極的に広報することで、その魅力に共感し憧れる学生が集まります。
集めたい学生と集まってくる学生が一致する
学校がブランディングを取り入れるメリットの三つ目は、集めたい学生と集まってくる学生が一致することです。
広報活動において自校の魅力をアピールできれば、魅力に惹かれる学生が集まります。
ただ、魅力の内容が学費の安さだったり、単位の取りやすさだったりすれば、そこを魅力とする学生が集まってしまいます。
本当に来て欲しい学生のために、自校の「強み」をしっかりとつかみ、学校のブランド価値を、施策と結果とともに、オシャレなデザインで伝えていくことが大切です。
学校ブランディングを取り入れないことのデメリット
学校ブランディングを取り入れないことは、これからさらに進む少子化に対してデメリットとなります。まずは以下3つのデメリットについて解説します。
・学校の魅力が伝わりにくい
・志望するに至る「憧れ」と在籍する「誇り」が持てない
・価格競争に陥る
それでは、一つずつ見ていきましょう。
学校の魅力が伝わりにくい
学校ブランディングを取り入れないことの一つ目のデメリットは、学校の魅力が伝わりにくいことです。
存続をかけた学校ブランディングで重要なのは、ここにしかない魅力を学生に十分伝えることですが、競合するどの学校にもあるようなものを魅力としてアピールしがちです。
そうなると資金面や知名度で劣る場合、競合に簡単に負けてしまいます。
限られたリソースを有効に使い魅力としてアピールするために、自校の良さを徹底的に分析し、他にはない自校の魅力を、伝えるべき人に伝わるようなブランディングをすることで他校の真似ではないブランドを構築することが重要です。
志望するに至る「憧れ」と在籍する「誇り」が持てない
学校ブランディングを取り入れないことの二つ目のデメリットは、志望するに至る「憧れ」と在籍する「誇り」が持てないことです。
少子化が進み学生が少なくなっていることに加え、価値観も変化し学校の選び方も偏差値だけに止まらない時代に変わってきています。
例えば大学の場合、大学に行くことだけで就職に有利だった時代が終わり、今は「この大学に入って自分が何ができて、どのような価値を身につけられるのか」を学生自身も重要視しています。
大学側が募集の時点で学生に将来のビジョンを見せることができれば、学生生活を想像しワクワクしたり、それが「憧れ」という形になって志望する気持ちに繋がります。
また、入学後、学生が想像したような学生生活を提供していくことは学生が卒業後も「誇り」を持ち続ける大切な要因となります。
ブランディングをせずに漫然と学校経営を行うことは、学生から憧れと誇りを奪ってしまうことになりかねません。
価格競争に陥る
学校ブランディングを取り入れないことの三つ目のデメリットは、価格競争に陥ることです。
学校のイメージが学生に伝われば、他校よりも有利に広報活動をしていけます。
しかし、ブランディングをきちんとしていない場合、他校との差別化を図るために、受験費用や学費を下げたりと、価格競争に陥ってしまいがちです。
学費などを下げると、学生を呼び込むことはできますが、結果的に「学費を下げた」ことに反応するような学生が集まってしまい、本来、集まって欲しい学生が入学してくるとは言い難くなります。
その結果学校の成長が阻害されてしまうことが起こります。
学校ブランディングをする際のポイント
学校ブランディングをする際のポイントは以下の3つです。
・ターゲットを明確にし押し出したい魅力を感じてもらう
・不祥事の際のリスク管理を明確にしておく
・情報を伝えるために適切な媒体を選定する
それでは一つずつ見ていきます。
ターゲットを明確にし押し出したい魅力を感じてもらう
学校ブランディングをする際のポイントの一つ目は、ターゲットを明確にし押し出したい魅力を感じてもらうことです。
まず、「どのような学生に選んでもらいたいのか」というターゲットを明確にする必要があります。
届ける学生に合わせて、「何を」を伝えるかを考え、「どう(表現)」伝えたら一番届くのかをプランニングする必要があるからです。
ターゲットを決める際には、在校生や卒業生にインタビューし押し出していく魅力を見つけ出したり、将来学生となる人がどんな話題に興味があるのかを分析する必要があります。
ターゲットを絞ることで、より多くの学生が志望するブランドに成長させましょう。
不祥事の際のリスク管理を明確にしておく
学校ブランディングをする際のポイントの二つ目は、不祥事の際のリスク管理を明確にしておくことです。
学校が不祥事を起こした際、適切な対応が取れるかどうかも、ブランディングにおける重要な側面です。
まずはメディアや保護者の方に向けての会見を開くことになり、その際に現状や解決策を明らかにした上で、適切な対応をとることで学校の信頼度を早く回復し、評判の低下も最小限で済みます。
リスクに備えることや起こった後に迅速な対応し、誠実かつ正確な行動することが学校のブランドを育て守ることに繋がります。
情報を伝えるために適切な媒体を選定する
学校ブランディングをする際のポイントの三つ目は、情報を伝えるために適切な媒体を選定することです。
他校にはない「魅力」を打ち出し、ターゲットとなる学生に共通して感じてもらうことが学校のブランディングに重要ですが、その情報を伝えるために適切な媒体を選択することも大切です。
テレビCMや広告でけでは自校の魅力を伝えきれずに終わってしまうため、CMや広告を見た学生が検索するホームページ、ホームページだけでは表現しきれない細かな情報はSNSを活用するなど、使い分けることによって、より濃密な信頼関係をきずくための宣伝ツールとして活用できます。
宣伝媒体を適切に選定することは、学校への理解をより深めてもらえると同時に、入学後のミスマッチを防ぐことができます。
学校にブランディングを導入した事例
ここでは、学校ブランディングを導入し成功した事例を紹介をします。
・少子化に挑むためのブランド作り「東京成徳大学高等学校」
・2025年に向けて始まった一大プロジェクト「近畿大学」
・卒業生9名がミシュラン星を獲得する専門学校「中村調理製菓専門学校」
それでは、一つずつ解説します。
少子化に挑むためのブランド作り「東京成徳大学高等学校」
学校ブランディングを導入し成功した事例の一つ目は、少子化に挑むためのブランド作り「東京成徳大学高等学校」です。
『文部両道』を掲げ、約15年前ほどから取り組んできた受験校へのシフトから、学力帯の異なる3コースを設置し、徐々に合格実績を積み上げ、現在では国公立大学、難関私大・上位私大への合格者数は年々増加しています。
現役合格率も約85%を達成するなど進学校の一角、といっても遜色無いレベルです。
ブランディングにあたって、生徒募集のあり方、そのための媒体・ツール全般を洗い直し着実に入学者を確保しつつ健全で持続可能な学校運営を実現しています。
2025年に向けて始まった一大プロジェクト「近畿大学」
学校ブランディングを導入し成功した事例の二つ目は、2025年に向けて始まった一大プロジェクト「近畿大学」です。
18歳年齢人口が、1992年の205万人から2018年には118万人に減少し、大学進学率も頭打ちになる中、2018年を境に大学進学者が減少し、私立・国立を問わずつぶれる大学がでてくるのではないかと言われた2018年問題。
ところがその中で、志願者数を10年間で2倍にし、4年連続志願者数日本一を達成した大学が近畿大学です。
広報活動では、キュレーションサイトや、ブログ、SNSなどを積極的に取り込み、新聞広告や中吊り広告などでも奇抜なメッセージを発信しています。
また、2002年に近大水産研究所が世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功したことから、近大マグロは近畿大学の業績の代名詞のように使われています。
広報活動を通じ、格式ばった大学とは一線を画し、革新的で奇抜なアイデアを奨励するベンチャー・スピリッツを実践しています。
卒業生9名がミシュラン星を獲得する専門学校「中村調理製菓専門学校」
学校ブランディングを導入し成功した事例の三つ目は、卒業生9名がミシュラン星を獲得する専門学校「中村調理製菓専門学校」です。
1949年、日本初の調理専門学校として誕生して以来、延べ卒業生数は10,000人以上を輩出し、学生数に対する常勤講師の人数も全国トップクラスで、在校生のコンテスト受賞者や、国内外でのミシュランシェフも誕生しています。
卒業後は、厳しい料理の世界にプロとして飛び込む学生にやさしいだけの教育は失礼という中村調理製菓専門学校の想いがあります。
少子化により入学者数が減少する中でも「合格」を安売りせず、入学後は一人ひとりに向き合う姿勢を大切にしています。
卒業した学生に第一線で長く活躍してほしいという想いをカタチにするため、本気で料理の道を志す人に、厳しさの裏にある愛情をまっすぐに伝えるブランディングを構築しています。
まとめ
本記事では、学生から選ばれるための学校ブランディングを解説してきました。
学校ブランディングをを導入する際のポイントとして、どの層のターゲットに向けて何を発信するかを深掘りし伝える媒体を選定することが重要です。
自校を認知させ、受験を控える学生や保護者に魅力を感じてもらい「憧れ」を抱きファンになってもうらうことが学校ブランディングの目的と言えます。
ファンになった学生が、想像通りかそれ以上の学生生活を送ることができれば、卒業後も「誇り」を持って学校を語ってくれます。
じっくりと時間をかけながら、ファンとなる学生ともに成長していけるようなブランディングを作り上げていきましょう。
記事執筆者の紹介
乾 雄一/デジタル広報プランナー
法人営業・EC事業の立ち上げ・新規事業開発などを経験し、WEBマーケティング会社にてWEBサイトの改善・集客・運用支援に携わる。
現在はWEB・動画・SNSを中心とした「デジタル広報」という切り口で教育機関の学生募集、医療機関の集患・人材採用支援を行っている。