学校再建の課題と対策・3つのポイントについて解説
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経営
目次
- 学校再建をするための課題は何?
- 学校再建にはどういう手法があるの?
- 学校再建は、どういうポイントに注意して行えばいいの?
昨今、ただでさえ少子高齢化で多くの学校が生徒の確保に苦労しています。
ましてや、組織として問題がある状態では、苦労して集客しても学校自体に魅力がないので、入学してもらえなかったり、途中で転校してしまいます。
この記事では、学校再建をテーマに以下の内容について詳しく解説していきます。
- 学校再建のための課題と対策方法
- 学校再建を行う際に注意すべき、3つのポイント
学校再建のための課題と対策方法
学校再建において、課題となる大きなテーマが以下の2つです。
- 集客
- 組織
ここでは、それぞれのテーマについての課題と対策方法についてご紹介をしていきます。
集客の課題と対策
学校再建で、テーマになることの1つ目が「集客」です。
人口減少が続く中で、生徒の確保はどのような学校においても重要なトピックになっています。
学校経営を続ける上で、新規の生徒が入ってき続ける仕組みを作ることは、経営を安定化させる重要なポイントです。
生徒の集客については、以下の記事でも詳しく解説しているのでチェックしてみてください。
・専門学校の集客を強化する前に再チェックしたい学生獲得に繋がるポイント
ここでは、簡単に集客に対する対策を簡単にご紹介します。
以前のようにオフラインで広告をして学校説明会を開けば、人が集まる時代は終わりました。
スマートフォンの中で学生にリーチをしないと、多くの学生に学校の存在を知ってもらうことができません。
学校を知ってもらうための広告としては以下の方法があります。
・オフライン
チラシ
パンフレット
・オンライン
ポータルサイトの活用
SNSの活用
自校ホームページ
特にこの中でも、ホームページでしっかり魅力を伝えたり、SNSで学校の様子を紹介するなど、オンラインでの施策が重要度を増しています。
組織の課題と対策
次に、学校再建で大きなテーマになる2つ目としては、組織です。
いくら集客をして興味を持つ学生や親が増えても、実際にその学校自体が魅力がなければ入学してもらえなかったり、転校されてしまいます。
学校自体の良し悪しを決めるのが、「組織」です。
組織が課題で、充実したカリキュラムを組めなかったり、授業が行われなかったり、学生同士のコミュニケーションを活性化できなかったり、といった学校のサービス品質の低下を引き起こします。
組織の課題に対する対策手法としては、以下の2つの方向性があります。
- 外部主導型
- 内部主導型
それぞれ、詳しくみていきましょう。
外部主導型
外部主導型は、金銭面や待遇面でのインセンティブなどの外部要因を用意して、教員のモチベーションを高める方法です。
銀行など、教育業界以外からの人物が学校再建を任された場合に、こういったビジネスライクな手法が採用されるケースがあります。
ただ、給料などの報酬よりも生徒と向き合うことに喜びを感じる教員が多いことなど、一般企業と学校とで違う部分があることを理解して行うことが必要です。
進め方を誤ると教員から反発されて新たな問題が発生する恐れがあります。
内部主導型
校長や副校長、教頭などに有能な教員が存在する場合、その有能な教員を中心に内的な要因から学校再建を行うことが可能です。
これが、内部主導型の学校組織の再建です。
学校再建の中心となる人物が教員であるため、教員の心理を理解しながら学校再建に取り組むことができます。
外部主導型の学校再建よりも、教員同士で一体感を持ちながらいい雰囲気で学校再建することが、期待されます。
ただ、そういった人物がそもそもいないことで組織の課題を引き起こしている場合も多く、外部主導型の学校再建よりも実施されることが少ないのが現状です。
学校再建を行う際に注意すべき、3つのポイント
ここでは、学校再建を行う際に注意すべき、3つのポイントについて解説します。
- 教員間で意思統一を図る
- ほめることでやる気を引き出す
- ポジティブ・フィードバックを心がける
それぞれ解説をしていきます。
教員間で意思統一を図る
学校再建のためには、まずは教員間で意思統一を図ることが重要です。
教員一人一人の教育信念を調整して、全ての教員の歩みを一致させるのです。
そうすることで、困難が発生しても教員同士で労わりあい、励ましあいながら学校再建を行うことが可能となります。
長野市の私立篠ノ井旭高校(現・長野俊英高)は、1960年に開校し様々な問題を抱える学生を全国から受け入れてきました。
当時の若林繁太校長は、落ちこぼれを出さない教育を目指していました。
生徒が起こす非行は、教員など大人に対するストレスを表現したものであると考えて、それを起こさせないようにストレスの原因を特定してなくしていこうと考えました。
その考えを全教員間で意思統一し、苦労しながら問題を抱える学生の更生に力を注いできました。
その教育方針は大きな評価を得て、著書『教育は死なず―どこまでも子どもを信じて (1978年)』はベストセラーとなり、映画化もされました。
篠ノ井旭高校のように、教員間で意思統一を図ることで困難の状況にも教員同士が一致団結して立ち向かい、学校再建を行うことができるのです。
ほめることでやる気を引き出す
学校再建には、教員と生徒のやる気を引き出すことが必要です。そのためには、「徹底的にほめる」ことが有効です。
なぜなら、人はほめられると「大事にされている」と感じるからです。
人は「大事にされている」、「必要とされている」と自覚すると、自信をもってポジティブな考えになっていくものです。
ポジティブな考えになると向上心をもち、やる気を出して大きく成長します。
実は、「ほめて伸ばす」ことは科学的にも理にかなっています。
人は、スピンドルニューロンという神経細胞をもっています。
スピンドルニューロンは幸せを感じると伸びる神経細胞で、人間のモチベーション向上に大きく貢献します。
スピンドルニューロンが伸びることには、以下に示すような様々なメリットがあります。
- 伸びれば伸びるほど、心が強くなる
- やる気が出る
- 前向きになる
- 自信がつき、ストレスに強くなる
- 我慢強くなる
- 前向きに考えるようになる
- 想像力が豊かになる
このように、ほめてスピンドルニューロンが伸ばすことで、教員や生徒のやる気を引き出すことができるため、結果的に学校再建につながります。
ポジティブ・フィードバックを心がける
ポジティブ・フィードバックとは、ある事象の「よい点」に着目して、その「よい点」につながった成功要因をあぶり出すものです。
例えば、テストで70点だった場合、多くの人は70点「しか取れなかった」と考えて、残り30点をなぜ取れなかったか原因を分析して対策を考えます。
もちろん、これも大切なことですが、こればかりになってしまうとネガティブな側面ばかりに気がとられて気持ちもネガティブになってしまいます。
一方、ポジティブ・フィードバックでは70点「も取れた」と考えます。そして、なぜ70点も取れたか分析して成功要因をあぶり出すことで、次につなげます。
たとえテストで20点だったとしても、同じように「なぜ20点取れたか」に着目して、ポジティブ・フィードバックを行うことができます。
このポジティブ・フィードバックにより、自分の成長を実感できて自信につながることが重要です。
東京都市大学付属中学校・高等学校の校長と同大教授を兼任する、長野雅弘校長は、「学校再建・飛躍のプロ」と呼ばれています。
学校再建の手腕は高く評価され、その手腕を活かして企業再生にも携わっています。
長野校長は、自身の著書でやる気を「心のロウソク」と表現し、「心のロウソク」が消えそうな時にはポジティブ・フィードバックが有効と説いています。
人は、物事のマイナス面に着目しがちですが、ポジティブ・フィードバックで成功要因をあぶり出すことも心がけてみましょう。
まとめ
この記事では、学校再建の課題と対策手法、学校再建を行う際のポイントについて解説してきました。
学校の集客は、いかに今の学生に寄り添ったマーケティングを展開できるのかが大切であり、自校で対処するよりも外部のプロの力を活用する方がうまくいきます。
また、学校も1つの組織であり、構成する人間一人一人がやる気をもって一つの方向に進んでいければ、自ずと組織である学校も活性化し、学校再建が可能となるはずです。
記事執筆者の紹介
乾 雄一/デジタル広報プランナー
法人営業・EC事業の立ち上げ・新規事業開発などを経験し、WEBマーケティング会社にてWEBサイトの改善・集客・運用支援に携わる。
現在はWEB・動画・SNSを中心とした「デジタル広報」という切り口で教育機関の学生募集、医療機関の集患・人材採用支援を行っている。